咬むのはわがまま?

お手入れ嫌いのワンちゃん、いますよね。
お手入れが嫌なあまり、バタバタ暴れて抵抗して、ウーっと唸って・・・中にはガブッと!!咬むワンちゃんもいます。

そういったワンちゃんに対して、「わがまま」だとか「躾がなっていない」だとか、よく聞く言葉です。
ここで私はちょっと待った!!と言いたいです。

咬むという行為は、ワンちゃんにとって「最終手段」なのです。
嫌なことされて、我慢して、我慢して、耐え切れなくなるから「咬む」という最終手段に出るのです。

ワンちゃんは、非常に賢く我慢強い生き物です。
そんなワンちゃんが「咬むという最終手段」に出る程、嫌な思いをさせてしまった。
そのように、考えてあげられることが、ワンちゃんに信頼をして貰えるための第一歩です。

皆さんも身に覚えはないでしょうか?
例えば、散歩から帰ってきて足を拭くときに、昔はちょっと嫌がって逃げようとするだけだったのに、
唸って、甘咬みして、気がつけば本気で咬んでくるから足を拭けなくなった・・・なんてことが。
ワンちゃんは平和主義者です。
それ嫌だなぁ、やめて欲しいなぁと、小さなサイン(=カーミングシグナル)を出して私たちに一生懸命伝えようとします。
それでも聞いてもらえないと、それが徐々に強いサインとなり、それでも聞いて貰えなかったら
「咬む」という最後の手段を用いるのです。


ちょっと足先を触ろうとしただけで「カッ」と咬もうとする。
そんなになるほどに、深いトラウマを抱えているということです。
可哀想なのはワンちゃんです。

トラウマを持っているワンちゃんに対して出来ること。
まずは私と友達になろうよ!
怖くないよ。嫌なことはしないよ。嫌だったら教えてね、すぐにやめるから。
少しずつ、少しずつ、出来る範囲で ワンちゃんがお手入れさせてくれる範囲でのお手入れを繰り返して
信頼関係を築き、出来るお手入れを増やしていくのです。

トラウマを持っているワンちゃんとの信頼を築くには、膨大な時間がかかります。
また、前回のお手入れから期間が空きすぎると、当然ワンちゃんは私のことを忘れてしまいます。
ワンちゃんによっても異なりますが、最低でも月に1回以上のお手入れを
飼い主様にご協力頂く必要があります。

「年に2,3回くらいのカットだから、口輪して無理やりでいいわ~」なんて、悲しいことを言わないで下さい。
今はそれでお手入れできたとしても、悪化して麻酔を打たないとお手入れできなくなるかも・・・。
ワンちゃんが年を取ったらどうなると思いますか?
ストレスのあまり、チアノーゼを起こして、お手入れ中に倒れてしまうかも・・・。

ワンちゃんとの付き合いは、平均して14年くらいですよね。長生きだと20年近くになることも。
未来を見据えて、何が愛犬にとって必要なのか、考えて頂けたら幸いです。